機械式時計の動作原理や構造、特にテンプ周りについて、しっかりと理解しようとすると、正確に解説しているサイトを探し当てたり、専門書を見たりと、それなりに苦労します。筆者も理解しているとは言えないレベルです。
こういう時に役に立つのが動画です。動くものを理解するなら、動く映像を見るのが早いです。(一番良い方法は、自分で分解組み立てをすることですが……)
そこで、Youtubeの中から「これは分かりやすいのでは?」という動画を選別してみました。
筆者:佐藤しんいち Twitter:@SugarHeartOne webChronosを中心に、時計ライターとして活動中。 自己紹介と過去の担当記事一覧 |
時計のムーブメントの動作原理が知りたければこれを見ると良いです
探した範囲で最も分かり易そうだったのがこちら。リュウズ周りから始まって、主ぜんまいの巻き上げ(香箱周りの説明)、2番→3番と動力が伝わる様子と順序良く解説されています。
そして、テンプ周辺、ひげぜんまい、脱進機の動きが分かりやすいです。この内容が頭の中で再生できるようになれば十分すぎるレベルだと思われます。
こちらは先の動画に近いもの。
知っているようで知らない耐震機構とマジックレバーの解説動画
こちらはセイコー6R15の動作紹介動画。上2つは手巻き機械だったのに対し、こちらは自動巻き。ポイントは、セイコーの自動巻き機構の要であるマジックレバーと、ダイアショック(耐震機構)についての作動が見れること。
何度見てもマジックレバーって、そんな感じで上手く働くんですか!?という驚きがあります。
説明できる人はさらに少ない「コーアクシャル脱進機」
ジョージ・ダニエルズ博士が発明し、オメガが量産まで持って行った従来の脱進機とは異なる構造を持つコーアクシャル脱進機。各種説明を読むと「効率が良い」とか「注油が少なくて済む」とか、効果は述べているけど、動き自体を説明していないよね!?という(己の)声に応えてくれる動画です。
見れば見る程、脱進機の設計って頭オカシイ世界ですね……。さすが、オメガ公式から引っ張っている動画だけあって、どこが、どのように順番に接触するか、が示されています。ただ、これを十分に理解しようとすると、スイスレバー式についても詳しく理解しておかねばならないです。
時計のキモ 「ひげぜんまい」の製造工程の貴重な動画
ひげぜんまいも自製するA.ランゲ&ゾーネらしい動画。ひげぜんまいの製造工程を見せてくれています。「原理を理解する」よりも、「どうやってい作っているかイメージする」ぐらいの内容ですが、十分に楽しめます。それにしても、ひげぜんまい製造に関する動画を出せる組織って少ないですよ。
以上内容がおおよそ理解できれば相当楽しめる
これらの動画で扱われている内容をある程度理解できれば、腕時計をさらに深く楽しめることでしょう。機械、とくにテンプ周りの動きを頭の中でイメージできる人は少ないと思われます。(Twitterにはゴロゴロいるから怖いんだ……)
機械式腕時計の原理のことが知りたいけど、何を勉強すればよいか分からない!という方は、こちらからチャレンジしてみることをおすすめします。
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