筆者佐藤しんいちがwebChronosで担当したインプレッション記事のこぼれ話をするコーナーです。「webChronos用に」とお貸しいただいている時計ですので、こちらでは元記事を超えるような情報や、元記事を覆したりすることはございません。あくまで補完する内容、思い出などを残しておく程度となります。
元記事
筆者:佐藤しんいち Twitter:@SugarHeartOne webChronosを中心に、時計ライターとして活動中。 自己紹介と過去の担当記事一覧 |
トゥルーム「L collection -Break Line-」
エプソンのトゥルームです。一般には、エプソン(セイコーエプソン株式会社)が時計を作っていることを知っている人は少ないかもしれませんね。しかし、エプソンは諏訪精工舎の系譜であり、私の大好きなセイコーダイバーズ群を開発製造していた歴史を持ちます。そして、最近知名度が上がってきたのではないか?と感じているオリエントもセイコーエプソン傘下になっています。(こちらは技術的な交流もありつつ、元々のオリエントの系譜もしっかりと受け継いでいますが)
何を言いたかったかというと、エプソンの時計って、ちゃんと技術と歴史を持った会社が作っているんですよ!ということであって、上層部が気まぐれに時計事業をぶち上げたとか、そんなのではないですよ!ということです。
さて、セイコーエプソンは時計技術の歴史から見ても珍しい「複数方式のムーブメントを擁する(した)」企業です。具体的には……
・機械
・クォーツ
・スプリングドライブ
・発電式クォーツ
そして、発電式クォーツこそが、今回のトゥルーム「L collection -Break Line-」に搭載されています。同様の形式、というかルーツは同じですが「キネティック」もここに分類されます。
こんな「ムーブメントのデパート」であるエプソンの独自技術、発電式クォーツの「スウィングジェネレーター」は、実用性を高めるために高効率な発電を行うための技術が投入されています。ポイントは、キーとなるICがセイコーエプソン製である、ということで、ここは電子機器技術を持つ同社ならでは、ですね。
この辺りの技術については、元記事に詳しく記載したので是非ご覧ください!
公式サイトもぜひどうぞ。
インプレッションこぼれ話
中学校頃だったかなぁ……セイコーのキネティックに憧れを覚えていましたが買ってもらうこともなく、まさかこういう形で再会するとは思ってもみませんでした。
トゥルームのコンセプトは「アナログウォッチを極める」ことで、そこまで言えるのはこれまでの実績があるからこそ。珍しいスウィングジェネレーターを搭載しただけではなく、挑戦的な工夫が見て取れます。ダイアルはこの価格では珍しいほどの立体感で情報量の多いもので、エッジを削り取った自動車タイヤホイールの「コントラストカット」風の加工によって金属の質感を生み出しています。
写真を頑張って撮って元記事に載せていますので、そちらを見て筆者が注目したポイントを確認していただけますと幸いです。
さて、アナログウォッチを極めた先が、暗い所でも発電が可能で、単独でも精度を維持可能なスタンドアロン (GPSや電波発信設備が不要) なクォーツで、二次電池の容量も十分な時計である、というのがエプソンの回答のようです。まるで核戦争後の世界でも動き続けることを想定しているかのような仕様ですが、現代社会の標準装備となったスマホに対抗することを考えると、あながち素っ頓狂な論理展開では無いと筆者は感じています。「極める」と言うなら、確かにそうなってしまいそう。
ケースは軽量なチタン製で、ストラップも良質。しかし、しかしです。なぜこのサイズ感なんだッッ!! この点については元記事でもしっかりと述べさせていただきました。