スツールの名作、Artek(アルテック)STOOL60を購入して愛用しています。写真を見ていただけると分かる通り、普通のスツールですよね。その普通を作ったのがこのスツール60です。

発表は1933年。デザインはアルヴァ・アアルト。ちなみにカラトラバRef.96が1932年です。その時点でデザインが完成され、現在まで残っていることを考えると、なかなか感慨深いしモダンなデザインだと思います。
IKEAに行けば、これとほぼ同じ、あるいは人によってはこれよりもスタイリッシュなスツールが3000円出せば買えると思うことでしょう。まさにそのとおり。しかし、やっぱりそこは元ネタに触れておくということが重要だと考えて購入しました。
さて、本作が現在まで残ってきた理由は何か? シンプルなデザインも理由のひとつですが、商品の物流についても考慮したデザインとなっていたことも挙げられます。

L型の脚をきれいに並べて天板を入れて…薄い箱に納まるデザインです。これならば嵩張る家具をコンパクトに運搬できます。
そして、この梱包方法を可能としつつ、安価に、頑丈に作るために必要であったのが、アルヴァ・アアルトが開発した木材を直角に曲げる技術です。
さきほど「普通の」と言いましたが、実はちょっと普通じゃないモデルでして、購入したものは「ロイム」と呼ばれるモデルです。ロイム=炎=フレイム柄ということで、ギターで使われるメイプル材でも話題になる揺らめくような模様が出た木材を用いたモデルとなっています。

その特別な木材を肌で触れながら自分で仕上げのオイル塗装をして組み立てる、というのが本作のポイントとなっています。


この後、ラッピングフィルムと呼ばれる超細目の研磨用フィルムで磨いてやったりして、木の触り心地を残しながらツヤツヤとした感触に仕上げました。良い物です。