大阪のニット工場である「月城ニット」のファクトリーブランド「ムーンキャッスル」渾身の一品であるカシミア100%のモックネックセーターを買いました。
しっかりと厚手で、ふんわりとした風合いです。こういう方向性ですとウールでは粗野な雰囲気が出がちですが、カシミアの素材由来の艶感やシルエットが良いのか、上品に仕上がっている点が面白いです。店舗に入荷した連絡を受けて即決で購入しました。
筆者:佐藤しんいち Twitter:@SugarHeartOne webChronosを中心に、時計ライターとして活動中。 自己紹介と過去の担当記事一覧 |
筆者がファッションに興味を持ち始めた15年ぐらい前から「ファクトリーブランド」という言葉はあった気がするので、その頃(少なくとも10年ほど前)から市場に出回っていたのでは?と思います。そのころから考えると、肌感覚でファクトリーブランドの数が増えています。
これは、SNSと通販の普及が後押ししたり、日本の手仕事が再注目されたり、服飾業界が不振で工場が自分で食い扶持を探さないといけないといった切実な背景があるものと思われます。
さて、ムーンキャッスルは1966年創業の月城ニットのファクトリーブランドであり、上質な素材に丁寧な手仕事を施し、オーソドックスなデザインに落とし込んだニットを提供しています。
MOONCASTLE 公式オンラインストア – MOONCASTLE公式オンラインストア (moon-castle.jp)
ムーンキャッスル カシミアセーターMC50
厚手の仕立てとすることで耐久性を上げ、風合いの変化を楽しんでもらうことをコンセプトにした100%カシミア製セーターです。カシミア製といってもピンキリで、某ファストファッションが採用するカシミアが「う~ん?」という品質だったりするので注意が必要です。ムーンキャッスルにおいては、チクチク感がなく、非常に肌触りが良いカシミアが使われています。具体的には分かりませんが、6万6000円では考えられないようなグレードのものが使用されていると思います。
それをやや厚手に贅沢に仕立てています。高級ハイゲージニットに見られるような、表面をスムースにして艶を引き出したような処理は施さず、ふんわりとした風合いを残こしたままとなっております。これは、ユーザーがブラシ掛けをして艶を活かす方向に育てたり、洗って粗野な雰囲気にする余地を残すための選択だそうです。
サイズ感やシルエットのおかげか、素材そのものが醸し出す上質さか。いつもの洋服店の店主はロックで男前なコーディネートをするおばちゃん店主なのですが、その人が着ても「上品なおばさま」感が出るという…。もちろん男性が着ても落ち着いた、でも堅くならずに良い意味で力の抜けたコーディネートになります。
リブ部分は控えめで小ぶりです。分かりやすいディティールなども与えられていません。上質な素材をシンプルにまとめることで、様々なスタイルにマッチする、ちょうどよい一品に仕上がっているのだと思います。
ムーンキャッスルのカシミアセーターは定番商品ですが、2022年ではシーズン前の完全予約生産とのことで、シーズン中の追加生産はありません。記事作成段階では公式オンラインショップでも取り扱いがありません。ですので、ショップ在庫があるならラッキーということでお早目に検討を。余剰品を作らないことで価格を下げている背景もあるのでしょうね。
畝の無い、スムースな仕立てのカシミアウールシルク製もあります。こちらなら18000円以下。