筆者佐藤しんいちがwebChronosで担当したインプレッション記事のこぼれ話をするコーナーです。「webChronos用に」とお貸しいただいている時計ですので、こちらでは元記事を超えるような情報や、元記事を覆したりすることはございません。あくまで補完する内容、思い出などを残しておく程度となります。
元記事
筆者:佐藤しんいち Twitter:@SugarHeartOne webChronosを中心に、時計ライターとして活動中。 自己紹介と過去の担当記事一覧 |
グランドセイコー 「エレガンスコレクション SBGJ251 春分」
グランドセイコーのエレガンスコレクション、つまりドレスウォッチがラインナップされるコレクションの、36000振動/時 GMTモデルであるSBGJ251のインプレッションです。そして、二十四節気モデルと言われる季節と結びつけたコレクションの一員でもあり「春分」をテーマにしたモデルでもあります。
グランドセイコーの伝家の宝刀36000振動を採用しており、チキチキチキ…と細かなビートを刻むのが特徴です。GMT針を備えており、機能面もさることながら、デザイン上のアクセントになっていると感じます。
ムーブメントの装飾も「高級時計を買ったなぁ」と満足感のあるものになっています。今作はハイビートモデルなので高価ですが、ベーシックなラインでも同等の美観を備えつつ50万円台となっており、高級時計の世界の入り口としてグランドセイコーが魅力的であると感じています。
また、ダイアルが魅力的で、荒らした表面にラッカーを吹いて透かす、一芸を加えています。これにより、表情や奥行きが出て、昨今の課題であるダイアル表現の向上を実現しています。針やインデックスもグランドセイコーらしく、当然のように綺麗で鋭利です。光が当たった時の表情を元記事に掲載していますので、ぜひご覧ください。
インプレッションこぼれ話
「グランドセイコーらしい」デザインではあるものの、昨今のGSの売りである「セイコースタイル」(=エボリューション9が有名)とはちょっと違う雰囲気で、しかも二十四節気モデルというミドルネームまで与えられています。これってどういう立ち位置なんだろう?というところからインプレッションはスタートしています。
KSやGS1stなんかを引っ張り出してきて、それらに共通点を見出したりしました。是非元記事をご覧ください。
別に、デザイナー勢がKSやGS1stを参考にしたとは私も考えていません。しかし、血がつながっていると似た親戚が産まれるんだなぁというのは面白いと感じています。過去モデルの知見があると、こういう楽しみ方もできるので、GSに限らず、各社の系譜を知っておきたいなぁと感じました。
今作のインプレッションで憎いのが「GSのPR担当さんが、春にインプレをするからって春分モデルを指名して貸してくれた」ということでした。これによって、春分をテーマにしたモデルを着用しながら、このモデルが表現する若葉と桜が見える景色を楽しむことができました。
大袈裟に聞こえるかもしれませんが、私はこれにちょっと感動しまして、「あぁなるほど。二十四節気モデルは、こういう楽しみ方があるのか」と思った次第です。なにかこう、フラグを回収したのような感じで、もし自分がお金を出してこのモデルを買っていたら、思い出が戻ってくるような感覚を覚えるのでは?と思い、そういう楽しみ方をインプレッションの中で提案させていただきました。
こういう内容を受けて、担当の細田さんはインプレッションに「なぜグランドセイコーは季節の移ろいを文字盤で表現し始めたのか? 」と題名をつけてくれました。この着目点が支持されたのか、アクセスが伸びたようで、ありがたい限りです。面白く仕上がったと思うので、ぜひご覧ください。